昨日書いたように、森美術館に駆け込む。
幾何形体を写した作品のエリアを通り、自然史博物館の原始人の
ジオラマをあたかも、実写のように撮った写真群を眺める。
ここまでで、かなりのコンセプチャルな写真家の印象を確認。
そして、次の部屋・・
かなり、照明を落とし、壁にかかっている作品だけ、ほんのりと
明るくなっている。すべての作品が、水平線が天地のちょうどセンターに
位置する世界各地の海の写真。まるで、質の高い、ミニマルな抽象絵画。
千葉の川村記念美術館にロスコルームがあるが、それに匹敵する空間の
充実度。特に、入り口の最初の2点、「カリブ海 ジャマイカ」’80
と「ケルト海 ボスキャッスル」’94 が、目を引いた。
そして、微かに聞こえる高音の音。
説明を見ると、池田亮司に依頼し、作曲したものらしい。
水平線を認識するために描く細いラインのように、微妙に耳に響く。
ただ、わざわざ、このために作ったであろう能舞台が、寄りかかりかけて、係員に注意されたからではないが・・、必要であったかどうか疑問が残る。
映画上映中、絞りを開き放しにして撮った、劇場シリーズも良かった。
さまざまな建築様式の劇場のスクリーンだけが、すべて、白く抜き取られて
いる。時間を印画紙に定着させると、こうなるということらしい。
各コーナーに分かれているテーマは、自問自答から始まるものによるとの
ことだが、展覧会のタイトルが表しているように、共通しているのは、
“時間”とは、何なのか? という疑問だろうか・・。
久々に、濃い内容の展覧会を見た気持ちになった。
展望台からの夜景もすばらしかったし、今日は、満足!!